
ブログをご覧いただきありがとうございます。木曜日担当のJEEPA認定英会話コーチの丸山です。
このブログでは、たびたびJEEPAのチャレンジシリーズについてお伝えしていますが、今回は、今朝行われた洋画チャレンジについての話です。今、観ているのは マイ・インターン (原題:The Intern)です。ご存じの方も多いと思いかもしれませんね。
マイ・インターン はこんな映画
仕事を退職し、奥さんとも死別した70才の老人(BEN:ロバート・デ・ニーロ)が、若い女性社長(JULES:アン・ハサウェイ)が立ち上げたオンラインビジネス会社にインターンとして入社し、慣れない仕事にチャレンジします。初めはBENのことを疎ましく感じていたJULESですが、BENに助けられながら公私にわたる難題をクリアしていくという物語です。
チャレンジシリーズのホストとして、皆さんに映画を紹介する立場で関わりますと、これまでならサラッと通り過ぎてしまうような部分もかなり深く観てしまう習慣がつきました。以下は今日のシーンのなかで個人的に一番、訳すことが難しかった箇所💦のご紹介です。
That was all rhetorical. ってどんな意味?
バリバリ仕事をこなす女性社長JULESですが、ママ友にはあまり良く見られていません。そこで、BENが運転する車の後部座席で思わずつぶやいてしまう(ボヤク)シーンです。
字幕訳:2015年だってのに。まだ働くママを批判? ごめん。今のは独り言よ。答えなくていい。
👨BEN
Wasn't going to.
字幕訳:分かってます。
(= I wasn’t going to respond. 答えるつもりはありませんでした。:筆者注)
ここで私がひっかかったのは、JULES の“rhetorical”の部分。字幕では「独り言」になっていますね。
辞書で調べると、
rhetorical 「修辞上の、言葉のうえの」・・・ まだ難しそうやね
修辞学の;雄弁術[文章法]の;修辞上の,修辞的な,修辞効果をねらった,表現が凝った;(表現を)誇張した;弁舌巧みな,(単に)ことばのうえの. とあります。(リーダーズ英和辞典第3版)
上記の「言葉のうえの」という訳を採用すると、
That was all rhetorical. は、「言葉のうえだけよ」→「言っただけよ」と訳せます。だから「答えなくていい」と続きます。
でも、そうすると、BENが「分かってます。」というところが少しひっかかります。「なんで答えなくていいということを分かっていたんだろう?なんでそんなことを言うんだろう」と。
先のリーダーズ英和辞典をさらによく見ると、rhetorical のすぐ下にrhetorical question という項目がありました。
rhetorical question
*文法* 修辞疑問《たとえば Nobody cares. の意の Who cares?》. (リーダーズ英和辞典第3版)
ここでやっと、JULESのボヤキは修辞疑問だったことに思いつきます。つまり、
JULES のThat was all rhetorical.=Those were all rhetorical questions. と置き換えることができそうです。
rhetorical question ンン ? 修辞疑問文 んん? 名前は難しそうやけど💦
rhetorical question (修辞疑問文)とは、
1 答えを求めていない質問や、答えようのない質問
2 意図していることをわざと疑問文で述べること
のことで、断定を強めるために、わざと疑問文で表現するレトリック(実質を伴わない表現上だけの言葉)です。表現上は疑問文ですが、本心は疑問文どころではなく、伝えたいことをはっきりと、強く言いたいときに使います。反語のことですね。
例えば、先のリーダーズ英和辞典にあった、Who cares?(誰が気にするのですか?)はNobody cares.(誰も気にしない)という意味です。Who cares?と言われて「えーと、気にするのは誰だろう?多分・・」なんて答えるとおかしな話になりますね。
他にも色々あります。
How could I forget?(どのようにすれば忘れられますか)は、I will never forget.(忘れられるはずがない)という意味です。これに対して「ええと、忘れるためには・・旅にでも出たら?」なんて答えると、「お前はバカか!?」と言われそうです。
この「お前はバカか!?」も相手に聞いているわけではないですから、修辞疑問文ですね。英語では Were you born yesterday? などとも言われます。「昨日生まれたのか」ではなく「お前は昨日生まれた赤んぼぐらい無知だな」ということです。
ですから、これらのような場合には、答える必要はない、というか答えてはいけないんですね。
このように、修辞疑問文は、話し手にとって自明のことを言っています。
これで、BENが「分かってます。」と言ったことが腑に落ちました。
このシーンでは、「今や、働くママは当たり前」という共通の認識が二人の間に存在しているということになります。
2015年のアメリカの文化的な背景も窺えますね。当時のアメリカと日本の文化が少しだけ違うようにも感じましたのでご紹介いたしました。
修辞疑問文 って、面白そう♡
“rhetorical question”でグーグル検索をすると、次のような例がいっぱいでてきて楽しいです。
☞ Rhetorical Question Examples
例えば、Is the pope Catholic?
「法王はカトリック信者ですか」、と聞いているのではありません。法王はカトリック信者に決まっています。仏教徒の法王はいないですよね。宗教とは関係のない話題で、あなたの質問(愚問)に対して「当たり前のことを聞くな、野暮なことを言うな」という意味で使われます。ですからさらに、Yes, he is. などと答えると・・ちょっと喧嘩になるかもですね。
他にも、Is the rain wet? とか、Can fish swim? とか色々あります。面白いですね。
ちなみに、冒頭のJULESのセリフ “I'm sorry. That was all rhetorical. ”の部分。私なら「ごめん、言っただけ」と訳したいです。
あなたならなんて訳しますか?
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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