
ブログをご覧いただきありがとうございます。木曜日担当の丸山です。
JEEPA洋画チャレンジ『ミッドナイト・イン・パリ』から、今回は“ for ” の訳し方についての話題です。
主人公のギルがひとりでホテルにいると、婚約者のイネズと両親が観光を途中でやめてホテルに引き返してきます。父親のジョンが胸の痛みを訴えたからです。
John, is there anything I can get, for your color to me looks like it’s ok, but I’m not a doctor.
字幕:水でも飲みます?見たところ顔色は ― 普通ですけど・・・
スクリーンには英字が出ませんので、getのあとにコンマ「, 」があることは勿論わかりませんし、セリフも非常に早口なので意味の切れ目もわかり難いです。そこで思わず、「for」を使い慣れている前置詞である「~のために」と訳そうとした方はみえませんか?そうすると、、「あなたのcolorのために何かを取ってくる???」って意味不明になってしまいますね💦
理由を表す接続詞としての for
この場合のforは前置詞ではなく、理由を表す接続詞として使われています。becauseと同様に、その後ろにSV(主語、動詞)を置くことで、理由を表すわけです。
先のギルのセリフに / を入れて分かり易くしたうえで、直訳すると、
John, / is there anything I can get, / for / your color (to me) looks like it’s ok, but I’m not a doctor.
ジョン、何か取ってこようか?なぜなら(というのも)、あなたの顔色は私には問題なく見える、とはいえ私は医者ではないので。
get : 行って取ってくる (fetch) 、color : 顔色 、OK:問題[支障]なし[なく]だいじょうぶ(な) 、but : とはいえ
文の後半のyour color から doctor まで全体が for にかかっていて、何かを取ってくるという理由になっています。「顔色は問題なさそうだけど、(医者ではない自分には)大丈夫かどうかわからないので、何か取ってこようか」と聞いているわけです。
for と because の違いは?
for はこのように、because と同様に理由を表す接続詞ではありますが、厳密には少し違いがあります。forは「判断したことに対する根拠」を説明し、becauseは「原因や因果関係」を説明します(becauseには根拠を説明する使い方もあります)。
例えば、
John must be sick, for he looks pale.
ジョンは調子が悪いに違いない、というのも顔色が悪いからだ。
「顔色が悪い」ということが「調子が悪いに違いない」と判断した根拠になっています。
一方、
John looks pale because he is sick.
ジョンは顔色が悪い、なぜなら調子が悪いからだ。
「調子が悪い」という原因があって「顔色が悪い」という結果がある、ということです。
今回の for は、非常にフォーマルかつ古い言い回しとのことで、話し言葉では滅多に見られないようです。私の友人によると、彼の周りで使う人間を聞いたことがないし、古めかしい言葉なので、一般の会話の中で使われると非常に違和感があるし、偉そうに聞こえるとのことでした(個人的な見解です)。
どのくらい違和感があるかとしつこく聞くと・・彼はちょっと考えてから、例えば・・日本語の会話で、自分の友人のことを「我が友」っていうくらい可笑しい、と言っていました・・(これも個人的にです)。それにしてもそんな例え、よく思いつくと感心しますけど。
一方、becauseはとてもカジュアルで、映画でも頻出ですね。ただし、’cause [kˈɔːz]、や cuz [kʌz]などと省略されて言われることも多いので、聞き逃すことのないように注意しましょう。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
なぜ、ギルがこのような古い言葉を使ったのかは・・彼に懐古趣味があったからかな?(考え過ぎでしょうか)
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