
ブログをご覧いただきありがとうございます。木曜日担当の丸山と申します。
今回も引き続き、どうすれば「字幕なしで洋画を楽しめるようになれるか」についてお届けします。
今日は、よくあるお悩みのうち「発音」その3です。
1 知らない「単語」が出てくる はこちら☞ 字幕なしで洋画を 「単語」編
2 「文法」がわからない はこちら☞ 字幕なしで洋画を 「文法」編
3-1 「発音」が聞き取れない(1) はこちら☞ 「発音」編 (1) 集中するのは出だしの3つだけ
3-2 「発音」が聞き取れない(2) はこちら☞ 「発音」編 (2) 内容語は強くゆっくり発音される
3-3 「発音」が聞き取れない(3) 知ってる単語だけど、音が違う!? ☜ 今回はこれ
4 自分の訳が「セリフの速さ」についてゆけない
その3の3 知ってる単語だけど、音が違う!?
皆さんは次のような経験はありませんか?
😟 音に全集中して聴いているんだけど・・「出だしの3つ」にもしっかり集中したんだけど・・でも・・聞こえてくるのは知らない単語ばっかり。
😯 後でスプリクトを読むと、あらあら、知っている単語が結構あったりして・・。
なんで? みたいな経験です。
🤔 知っているはずの単語なのに、絶対、その単語には聞こえないのはなぜなんでしょう。
まだまだ、集中が足りない? 自分の耳がおかしい?
い―え、それはあなたの耳のせいではありません。安心して下さい。
🤷♂️ もともとそれらの単語が、あなたが今まで勉強してきた通りには発音されていないのです。
ハァ? なんで?って言いたいですよね。
先週、内容語は強くゆっくり発音されると申しました。これとは逆に、弱く発音される部分は非常に速く話されるのです。そのため、色々な方法で本来の音を変化させることで速く話せるようにしているのです。👈 ここが今日のポイントです。
それでは、お馴染みの「マイ・インターン」で確認してみましょう。
映画「マイ・インターン」で確認
ほぼ、先週と同じセリフの部分で検証します。
青文字の単語は先週説明したとおり、強くゆっくり発音される部分です。基本的に(多少例外はありますが)ほぼ皆さんが勉強したとおりに発音されています。今回はあまり気にしないで下さい。
今回は、弱く、速く発音されている部分に注目します。カタカナの赤文字が速く発音しようとした結果、音が変化している部分です。ここに注目です。
👏(クラップ)や下線、色塗りなどは、一定のルールを示していますが、後ほど説明いたします。
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Well, I'm retired, and my wife is dead.
ウェオ アイム リタイアー(d)ゥン マイ ワイフィズ デッ(dタメ)
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As you can imagine, that's given me some time on my hands.
アジュー クン イマジン ダッツ ギブ(ン)ミ サム タイム オ(ン)マイ ハンズ
👐 👏 👐 👏 👐 👏
My wife's been gone for three and a half years.
マイ ワイフィス ベン ゴウン ファ トリー アナ ハフ イアズ
👐 👏 👐 👏
I miss her in every way.
アイ ミッサァ イネブリ ウェイ
【 次はスターバックスでの場面。雨の日も晴れの日もスタバに行くことがBENの日課になっているようです。 】
👐 👏 👐 👏 👐
Come rain or shine, I'm at my Starbucks by 7:15.
カム レイナ シャイン アイマッ(tタメ)マイ スターバックス バイ セブンフィフティーン
👐 👏 👐 👏 👐 👏 👐 👏
Can't explain it, but it makes me feel part of something.
キャーン(tタメ)エクスプレ ニイッ(tタメ) バテッ(tタメ)メイクス ミ フィーオ パーロフ サムティン(グ)
【 字幕:雨でも7時15分にスタバへ 社会の一部になった気がする 】
速く発音するための工夫(ルール)
速く話すための工夫には一定のルールがあります。今回のセリフでは次のような変化が見られます。色塗り部分などは、上のセリフに対応しています。
☞ 弱く速く言われる部分の母音は、強形の音(おそらく皆さんが学校で習ってきた音)ではなく弱形、またはシュワと呼ばれる曖昧な母音で発音されることが多いです。口をほとんど動かさずに話すため、楽に速く言えるからです。
☞ 網掛けの部分は音が消えています。これもその方が言いやすく、速く言えるからですね。
☞ 下線のところは音がつながっています。
☞ t や dで終っている単語は t や d を発音していません。ただし、舌は t, d の位置(上アゴ)につけた状態(そこから舌を勢いよく弾いて t や d の音を出す直前の状態)で t,d の音を出したつもりで、少し間(マ=タメ)を作っています。
☞ z の音は、速く言おうとするとsの音になる場合があります。その方が言いやすいからです。
☞ t の音はℓに変化する場合があります。やはり言いやすいからですね。

化けまっせ
上のセリフはあくまでも一例です。音の強弱は話し手が何を強調したいかによっても変わりますし、話し手の個性によるところもあります。このセリフは、ベンがインターンに応募するための自己紹介用ビデオでもありますので、それほど音を崩してはいないようです。( t がℓに変化するルールはあまり多用されていません。)
音の変化のルールにはこの他にも色々ありますがそんなに多くの種類はありませんので、このような変化を知っていただくことが映画の発音(通常の会話でも)を聞き取るための非常に大きな武器になります。
ここでは紙幅の都合で詳しく説明いたしませんが、「シュワ、リエゾン、フラップt、語尾の破裂音の省略、リダクション」などのキーワードでインターネット検索できますので、興味がある方は調べていただければと思います・・だけではちょっと不親切なので、ひとつリンクを貼っておきます。
ところで、なぜ、そもそも、強く発音されるところはゆっくりと話されて、弱く発音されるところは速く話されるのでしょう?
答えは 👇
強弱のリズムが一定になるように話したい
からです。

リズムが大事
上のセリフに付けた👏(クラップ)は、特に強く発音されている単語の(第一)アクセントがある部分です。つまり、一番強く発音される部分。ここでリズムを取ります。ネイティブのスピーカーは、話すときのリズムを非常に大事にします。ひとつの文の中でなるべく👏が一定の間隔(リズム)になるように話そうとします。👏と👏との間の 👐 (黄色い線の時間的な長さ)をなるべく一定の間隔(等時)にしたい、ということです。それで 👐 の部分に弱い音がたくさん出てくる場合は、そこを思いっきり速く話す必要があるのです。
詳しくは過去の記事もご参考にしてください。 ☞ 映画の会話を聞き取りたい人、必読!
次週は
4 自分の訳が「セリフの速さ」についてゆけない
をお送りいたします。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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